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Self Liner Notes #2

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1. the salvaged day included in; knot freq. (2020) 雑踏のフィールドレコーディング(金属解体工場の近辺だったかも)と少し軋むような弦のミニマルフレーズとシンセ。「#1」の「arc(recall)」同様、ここからテクノや電子音楽は想起しづらいかも、というAsohgi的幕開け。 別曲のインターバルに現れるなどの役割が多い曲でもある。 初出は2020年。完成は2015年。 もう少し長尺で発展させたかったが完成に至らず。でも今はこれが完成形と考える。
2. ao included in; gleam ep (2012) interjection ep (2016) 余韻の長いキックに三拍子のリズム、初期TANZMUZIKの影響大なシンセSE、と忙しない構成。 と、期せずして「elephant echo」と同じ説明・曲順。ただしこちらはストレートだったり籠ったトーンだったりと曲のカラーは全然違う。 後に佇まいが異なる「revision」を作成し「interjection ep」に収録。今回はオリジナルバージョンを採用。 なお、曲名の読み方は「アオ」。
3. giggling for moon daughter (new moon) included in; crater ep (2010) elephant ep (2011) けたたましいインダストリアル・リズムとオルゴールのメロディが不穏に淡々と進む。INDUSTRONICAと銘打ってた時代のAsohgiを象徴するような曲。 本バージョンは2011年に発表。オリジナルは2010年で、当時のライヴ映像をYouTubeで今も確認可能。 ちなみに、ドラムンベースとかブレイクコアっぽい速いリズムのプロトタイプが存在している。
4. craglung included in; piton​-​L 03 (2013) タムを全面に響かせてひたすら突っ走るトライバルGorgeトラック。勢い重視。 作成当時は特に発展しなかったが、今回聴き直してライヴでやっても良かったかも、と思った。 曲名はaqua lungを元にした造語。「Gorgeは岩山」というイメージからcragという単語を採用。海から山へ。
5. sun funnel included in; funnel ep (2011) リズム隊の硬質な音色、トライバルなパーカッションループ、初期TANZMUZIKフォロワーなシンセSE…つくづくインダストリアルな音に傾倒していた時代。そして執拗なループの割にドラマティックな展開。 極めてAsohgi的な音であり手癖。改めて聴くと、自覚以上にかなり独特な世界観を構築していたのでは…?という印象と、このテイストを濾過して再構築してみたらどうなる…?という興味が、今このテキストを書いてる瞬間には湧いている。 ちなみに、幾度となくライヴで共演させてもらっている盟友・紅日毬子は「月化のワルツ」(doris ep, moon quartz収録曲)と同列で気に入ってくれているらしく嬉しい。
6. yueliu nova 2019 included in; gleam ep (2012) WAVE OF CHANGES 3​+​1 (2019) 「GiGi tegn」の解説でも触れた造語であり自分内キャラでもある「yueliu(ユウル)」第一作。 雨の中を行くアンビエントっぽいトーンと変則的なリズム。この曲も初出以降少しずつ変化しており、本作は2019年版。リズムが少し80年代ニューウェーブっぽかったりインターバルに「the salvaged day」と「formula」(moon quantize. sound extension​:​001収録)が垣間見えたり。 同曲の2015年頃のライヴ映像をYouTubeにて確認可能。盟友・大島朋恵の素晴らしいパフォーマンスも堪能できます。
7. pi.dance included in; reflex pf (2020) 「πDANCE(パイダンス)」。iOSのElectribe Waveでスケッチしたピアノループを複数組み合わせてエディット。かなり感覚的かつ一筆書きのように仕上げた曲。 この曲のコラージュ感や残響感、そして曲名には、自分の作品作りに対するここ数年の佇まいとヒントが薄っすらと漂っている。
8. vessel (2nd) included in; funnel ep (2011) 某演劇作品に提供した劇伴がベース。BPMを落としリズムトラックや展開のアレンジを加え、オリジナル版として「funnel ep」へ収録。 本バージョンはライヴアレンジを施した2014年頃作成の未発表テイク。疑似アシッドシンセや複数の別曲が理路整然と盛り込まれている。 余談だが、その演劇作品自体は何度か再演されているが、初演に関しては非常に即興的・ゲリラ的かつコンパクトな規模感に対して役者陣の精鋭ぶりが際立つ秀作だった。自分も即興演奏的に参加したがとても印象深く、今なお思い入れがある。
9. debris (re)boot included in; piton​-​L 04 (2016) 金属的なドラム音と深い残響のみ。インダストリアルへのリスペクトとGorgeマナーに則った、シーケンスやプログラミング一切なしの即興音塊。儀式の始まりか終わりのようにも聴こえる(だからタイトルに「(re)boot」起動または再起動、等と付けたのかも)。
10. Lapis Lazuli included in; funnel ep (2011) deco_de (2018) Lapis Lazuli 2020 (2020) 複数トラックに渡るシンセ(KORG Mono/Poly VST)のうねりと淡々とした重たいビート、ささやかな転調を経てシンセベースと加工されたポエトリーリーディングがやってきて一気に引く、インダストリアルとアンビエントの深海。 個人的にも非常に気に入っており、ライヴにおけるメインレパートリーのひとつ。 オリジナルは、同世代でテクノを志した同士であり今も活動中の中田誠(ASTROID)がプロデュースしたアンビエントコンピ用に描き下ろした「lapis lazuli」(全て小文字表記)。 ライヴの度に修正やアレンジ変更をしていたため、例えばYouTubeにて確認できる2013年頃のライヴでは「knead your folklore」(ネットレーベル・分解系レコーズのコンピ収録曲)と「NiNi0435」がカオティックにミックスされていたり、「deco_de」(BandcampにてフリーDL配信中)ではリーディングが単独公演「deco」でも用いた紅日毬子の朗読に差し替わっていたりと、様々なバージョンが存在する。 本バージョンは「funnel ep」収録版と同等ながらミックスや音質がやや異なる。 リーディングの内容は以下。 「Lapis Lazuli before the sunset. That time, only few minutes. Between summer and autumn.」 夏~秋頃の夕暮れ時の僅か数分の深い青色がラピズラズリの色みたいだと思った、という経験を自分自身で語り、自分とわからず、かつ内容は聞き取れる範疇で無機質に加工している。 余談だが、この曲を作る上で、尊敬してやまないテクノユニット・TANZMUZIKの「DAEN」という曲を大いに参照させて頂いている。
11. yueliu sight included in; hymn ep (2014) ハードコアテクノ/EDMめいた音色を使いつつそんな素振りを一切見せず一向に盛り上がらず、ピアノの連弾がメインとなって淡々と全体を覆う。ブリッジに少しの大太鼓と鈴。 展開が少ないがフレーズ構成がミニマルにも雑多にもならないように注意を払った記憶。 自分が鍵盤弾きではないのでライヴで観れるかたちに成立させるのが難しいが、気に入ってる曲。 大島朋恵が企画制作した演劇作品「ツキトコトリ。」(2014)にて大々的にフィーチャーされた。
12. day exp. included in; knot freq. (2020) ざらつくシンセストリングスに拍子崩しのグリッチに満ちたブレイクビーツが延々と唸る。展開は多くない。 途中で現れる「the salvaged day」は雨音もなく純度が高い。 多分「giggling for moon daughter」と似た動機で、元々ドラムンベースとかブレイクコアっぽい速い曲調からテンポを半分にしたり崩したりしてしっくりきた。 有り体のジャンル・スタイルを下敷きにするのは、最初は面白がれたりもするのだけどすぐ飽きて自分にとって腑に落ちるポイントへ向かう…というのが癖や性分らしい。そういう観点から自分の曲を顧みれば、そんな癖に満ち満ちているのかも知れない。 オリジナルの完成は2014年頃。数回ライヴで演った後、2015年に本バージョンが完成。その後Asohgiの活動の鈍化などでしばらく眠っていたが、2020年「knot freq.」リリースでようやく陽の目を見る。まるで発酵のよう。 盟友・大島朋恵にいたく気に入られており、「yueliu sight」同様、演劇作品「ツキトコトリ。」にてフィーチャーされている。
13. NiNi0435 (6th) included in; funnel ep (2011) 2010年代後半まで東京で活動していたバンド「UM -アム-」のサイドプロジェクト「ニニ」の楽曲のリミックス。 テープ編集やミュジーク・コンクレートといった初期サウンドコラージュ音響作品をイメージしてみよう…と思い、ひたすらセロテープの音が飛び交い、ボーカル・Re;kaiのリーディングは解体再構築の果てに詞の意味を変え、シンセのシーケンス、初期TANZMUZIKオマージュなシンセSE、少しのインダストリアル・リズムで色付け。 最初のバージョンは2011年。バスドラム四つ打ちをほぼミュートした本作は2017年頃作。バージョン6なので「6th」。 「ニニ」そして「アム」というバンドは、音楽ジャンルや活動フィールドは全然異なるが非常に好きなバンドで、自分も頻繁にライヴや音源で誘ってもらったり演劇の現場でも一緒になったり、Re;kaiと大島朋恵のユニット「Rinnri」と自分との合体ライヴも開催したり…と、何かと関わったし個人的にも思い入れがある。 活動休止して久しいがいつかまた観れたら良いなと思っている。
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